第1回の結果概要

応募の状況

第1回のコンテストには全国から93自治体の応募をいただきました。この応募数は私たちの期待以上のものがありました。ドイツのコンテストの例を見ると、1989年実施された第1回目の応募自治体は30、1991年の第2回が96でした。実施年代に10年以上の遅れがあり、この間、環境問題に対する世界の認識も大きく変わっていますが、ドイツの例から判断しますと、初回コンテストにこれだけ多くの自治体が参加したことは、わが国における自治体の問題意識と取り組みは、すでにあるレベルに達していると判断できます。

応募してくださった自治体を人口規模別で分類してみますと、政令指定都市が5、政令指定都市を除く人口30万以上の自治体が13、人口10万以上30万未満が21、5万以上10万未満が21、2万以上5万未満が21、2万以下が12自治体となっています。

参加自治体一覧

集計結果の概要

(1)「日本の環境首都」の称号

今回のコンテストにおいては、「日本の環境首都」の称号を贈るに足りるだけの自治体は残念ながら存在しないという結論に達しました。得点が満点の70%である280点を超える自治体がなかったからです。

私たち環境NGOは、このコンテストを準備する過程で「日本の環境首都」として満たすべき条件について議論を重ねました。それは質問内容に直接関わりますし、それぞれの質問に対する配点とも関わる問題です。さらに、私たちが理想とする満点の状態の「日本の環境首都」に対して、どの程度の得点割合で「日本の環境首都」の称号を贈るべきなのかを検討しました。

参考にしたのが、大学生の成績評価の方法です。「優」の評価を受けられるのは多くの大学で配点の80%以上、「良」が70%以上であることを参考にして、私たちが現時点で考えられる満点の悪くても70%(280点)以上が「日本の環境首都」の称号授与には必要という結論に達しました。

今回応募いただいた93の自治体の中で、最高の得点で栄えある第1位を獲得した名古屋市も残念ながら280点には達しませんでした。そこで今回は名古屋市に対して、総合1位の表彰をいたしまたが、「日本の環境首都」の称号は来年度以降ということになりました。来年度以降早い時期に私たち環境NGOが心から歓んで「日本の環境首都」の称号を贈ることができる自治体が誕生することを心より期待しております。

(2)入賞・表彰自治体

第1回のコンテストの総合評価では、栄えある第1位を獲得したのは名古屋市、第2位は福岡市、第3位が仙台市でした。以下4位から10位までは、北九州市、熊本市、尼崎市、板橋区、多治見市、宇部市、藤沢市(同率9位)となりました。上位の4位までを政令指定都市が独占し、10位までは人口約10万人の多治見市が最小規模で、人口規模の大きな自治体が高得点を獲得する結果となりました。

人口規模別の総合得点では、政令指定都市を除く人口30万以上の自治体の中では第1位が熊本市で第2位が尼崎市、30万未満10万以上の自治体の中では第1位は多治見市で第2位が宇部市、人口5万以上10万未満の中では第1位は日田市で第2位が武生市(現越前市)、2万以上5万未満の中では第位が水俣市で第2位は久居市、そして2万未満の中では岩手県東和町(現花巻市)が第1位で北海道苫前町が第2位を獲得しました。

総合順位(上位10位)

第1位 愛知県名古屋市
第2位 福岡県福岡市
第3位 宮城県仙台市
第4位 福岡県北九州市
第5位 熊本県熊本市
第6位 兵庫県尼崎市
第7位 東京都板橋区
第8位 岐阜県多治見市
第9位 山口県宇部市
神奈川県藤沢市

総合得点で宇部市と藤沢市は同点でしたので、両市とも総合順位第9位とします。

人口規模別順位(上位2位)

政令指定都市 第1位 愛知県名古屋市
第2位 福岡県福岡市
政令指定都市をのぞく
人口30万人以上
第1位 熊本県熊本市
第2位 兵庫県尼崎市
人口10万人以上30万人未満 第1位 岐阜県多治見市
第2位 山口県宇部市
人口5万人以上10万人未満 第1位 大分県日田市
第2位 福井県武生市
人口2万人以上5万人未満 第1位 熊本県水俣市
第2位 三重県久居市
人口2万人未満 第1位 岩手県東和町
第2位 北海道苫前町

(3)部門別の結果

住民参画部門では人口規模で見ると、政令指定都市では総合1位の名古屋市、政令指定都市を除く人口30万以上の自治体では東京都板橋区、30万未満10万以上の自治体では岐阜県多治見市、人口5万以上10万未満では広島県府中町、2万以上5万未満では三重県久居市、2万未満では岩手県東和町(現花巻市)と北海道苫前町同点で第1位を獲得しました。

地球温暖化防止部門では人口規模でみると、政令指定都市では名古屋市、政令指定都市を除く人口30万以上の自治体では熊本市、30万未満10万以上の自治体では長野県飯田市、人口5万以上10万未満では福岡県筑紫野市、2万以上5万未満では熊本県水俣市、2万未満では岩手県東和町(現花巻市)が第1位を獲得しました。

これらの各自治体に対して、私たち環境NGOは心より敬意を表するとともに、さらに先進自治体としてわが国をリードしていく、より進んだ取り組みを継続されることを期待しています。

部門別表彰

地球温暖化
対策部門
政令指定都市 愛知県名古屋市
政令指定都市をのぞく
人口30万人以上
熊本県熊本市
人口10万人以上30万人未満 長野県飯田市
人口5万人以上10万人未満 福岡県筑紫野市
人口2万人以上5万人未満 熊本県水俣市
人口2万人未満 北海道東和町
市民参画部門 政令指定都市 愛知県名古屋市
政令指定都市をのぞく
人口30万人以上
東京都板橋区
人口10万人以上30万人未満 岐阜県多治見市
人口5万人以上10万人未満 広島県府中町
人口2万人以上5万人未満 三重県久居市
人口2万人未満 北海道苫前町
岩手県東和町

(4)上位自治体の特徴と全国平均

今回のコンテストで上位となった自治体は、政令指定都市である名古屋市、福岡市、仙台市でした。これら大都市が上位を独占することになった理由は、個別の環境問題に対する具体的な施策がまんべんなく行なわれているのはもちろんですが、それとは別に、活動の記録が良く整理されているという点があります。つまり、施策とそれに関わる記録を正確に残すことによって、次の施策への有効な手がかりが得られるのではないかという印象を受けました。

具体的な特徴を明らかにするために、下表に質問ごとの参加自治体全体の得点の平均点と、名古屋市ならびに人口規模の小さい自治体の中で高得点を獲得した水俣市の具体的な得点結果を示してあります。この結果から、全国で第1位となった名古屋市は、すべての質問項目でほぼバランスよく得点していることが分かります。全体でバランスが良いのですが、特に注目する点をあげますと、環境基本条例や基本計画、ローカルアジェンダといった、規則や制度という面で他の自治体より、進んだ取り組みが行なわれている、といえます。

全国で第1位となった名古屋市と比較すると、水俣市の場合は、率先行動・エコオフィス、エコ産業などの面では、名古屋市に引けを取らない取り組みが行なわれているといえます。しかし、人口規模の小さい自治体の場合、それぞれの施策に取り組むことができる職員の絶対数が、大都市と比較して少なく、全体的には得点が低いという結果になりました。自治体の住民一人当たりの施策という見方を導入すると、この点での評価はまったく違ったものになる可能性があります。これらの点は次回のコンテストでは、改善する必要があると考えています。

独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて製作しました
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