環境首都創造NGO全国ネットワーク(旧 環境首都コンテスト全国ネットワーク)
English自治体の方へ活動へのご参加・ご支援
サイト内検索
環境首都創造NGO全国ネットワークバナー

ぜひこのバナーを使って、当サイトにリンクしてください。リンク先はhttp://www.eco-capital.net/でお願いします。

水Do! 水道水で行こう
地球環境基金

本ウェブサイトは、、独立行政法人環境再生保全機構からの助成金(2010年度まで)を活用して構築しました。

このウェブサイトに関するお問い合せ先

環境首都創造NGO全国ネットワーク 事務局
特定非営利活動法人 環境市民
http://www.kankyoshimin.org
〒604-0934
京都市中京区麩屋町通ニ条下る尾張町225番地
第二ふや町ビル206号室
環境市民内
TEL 075-211-3521
FAX 075-211-3531
E-mail office@eco-capital.net

アクセスカウンタ
今日 : 514
昨日 : 764
総計 : 2567090
トップ (メニュー)  >  持続可能な地域社会づくり モデル自治体共同調査研究プロジェクト  >  提言書 環境首都「たじみ」をめざす12の先導的プロジェクト 完成!
カテゴリートップ
持続可能な地域社会づくり モデル自治体共同調査研究プロジェクト
次
プロジェクトの概要

提言書 環境首都「たじみ」をめざす12の先導的プロジェクト 完成!

足かけ5年、うち後半2年間・16回に及ぶ「多治見市環境首都モデル事業プロジェクト検討委員会」での検討を経て、提言書・"タジミリョク全開!"環境首都「たじみ」をめざす12の先導的プロジェクトが完成しました。

3月12日(木)、市役所8階の「食堂」にて古川雅典多治見市長、木股信雄同副市長同席のもと、提言書の内容紹介と懇談を行いました。市長は、一通 り説明を聞いた後「提言書づくりは4割。残り6割の力で実現のために動き出さなければならない。プロジェクトは環境課だけでは実現できない。総合計画に位 置づけ、部局横断的、オール多治見で取り組んでいきたい」と述べられました。


2年間「食堂」で「多治見市環境首都モデル事業プロジェクト検討委員会」を行ったのは、できるだけざっくばらんに話し合いたいという考えからです。 この委員会には3人の市民、当ネットワークメンバーの他、7つの課の課長が参加しました。これは異動してもこの委員会のメンバーであり続けるという他にあ まり例のないものでした。この仕組みを庁内における推進にも活かしていくことについても、市長からの指示がありました。

今後、この提言書を実行に移していくため、当ネットワークとしても引き続き支援をしていくことになりました。

研究成果 持続可能な地域社会づくり、モデル自治体共同調査研究プロジェクト

持続可能な社会を地域からつくる7つの提案

1 持続可能な開発・発展・・人類最大の課題

 「持続可能な開発(発展)」という言葉が、人類社会の最大の課題として世界的に認識されるようになって15年以上になる。持続可能な開発(発展)という概念は、1980年に国際自然保護連合(IUCN)、国連環境計画(UNEP)等がとりまとめた「世界保全戦略」に初めてキーワードとして出された。その後、国連の「環境と開発に関する世界委員会」(WCED)が1987年にまとめた最終報告書「Our Common Future」でその中心的な理念とされ広く認知されるようになった。

 そして1992年ブラジルのリオデジャネイロで開催された環境と開発に関する国際連合会議(通称「地球サミット」)で採択された「アジェンダ21」で中心的コンセプトとされ、世界に大きく認知され、これまで続いている。

 人類史上最大の会議であり、世界162カ国の首脳が集まった会議で、なぜ「持続可能な」がキーワードになったのか、それは現在の人類社会がこのままでは「持続不可能である」という認識に至ったからである。

 世界の現状をみても、地球規模の環境問題、それと大きな関係がある資源の危機、世界的な経済不況と社会格差の拡大、貧困の拡大と南北格差の拡大、これらの問題及び宗教を起因とする対立と戦争の激化。このように人類社会は深刻な問題を抱えている。しかも解決に向けての明確な道筋は示すことができていない。これらの課題ひとつひとつが、人類社会にとって大きな脅威になり、しかもそれが連関してより大きな危機を招きかねないことは、想像に難くない。私たちの社会、開発・発展のあり方は「持続不可能」な状態に陥っていると考えざるを得ない。だからこそ、私たちは、将来の世代に世界を引き継いでいくために、現在の持続不可能な状態から持続可能な開発(発展)に変えていき、持続可能な社会を築く必要がある。

2 持続可能な社会は地域から

 その持続可能な社会に向けての変革はどこに基盤を置くべきであろうか。これを考えるのに重要な文章がある。前述の92年の地球サミットで採択されたアジェンダ21である。その第28章に次のように記されている。「アジェンダ21で、提起されている諸問題及び解決策の多くが地域的な活動に根ざしているものであることから、地方公共団体の参加及び協力が目的達成のために決定的な要素になる」。持続可能な社会に変えていくためには、世界中の地方公共団体の参加協力が決定的な要素になる、と断言しているのである。

 なぜそのように言えるのであろうか。私たちは、持続可能な社会をつくる主体としては、中央政府の役割が大きいと考えがちである。確かに政府の役割は大きいものがあるし、持続可能な社会を築くには、政府の政策の大転換が必要であるということは当然である。

 ただ、その政策転換はどのようにして起こしえるのであろう。これを考えるのに、日本の重要な前例を想起したい。かつて日本は甚大な環境破壊にさらされた。「公害」である。水俣病、四日市ぜんそく、新潟水俣病、イタイイタイ病に代表される産業公害、大都市を中心とした道路公害等が日本各地で続発した。それに対応したのが地元の自治体である。動きの悪い自治体もあったが、対応する法律がない中で国に先んじて様々な規制、協定、指導等を実体化させて行った。

 そのような公害の実態と自治体の取り組み、そして人々の世論が1970年11月末に「公害国会」と称される臨時国会を開かせることになった。この国会において、政府は全国各地で起こっている公害問題への対応には公害関係法制の抜本的整備が必要と認識し、公害対策基本法改正案をはじめとする公害関係14法案を提出し、そのすべてが可決成立した。これらの法律によって、事業者の基準遵守の指導権限をほぼ全面的に地方に委譲し、また、法律以上の上乗せ規制の規定を明確化して地方自治体の権限を強化した。これは自治体の先行的取り組みを評価したからであった。そしてこの公害国会のあと環境庁が設置されたのである。

 日本の環境政策は、地域から始まったのである。そして日本政府の環境政策は、自治体が先行して実施したものを全国化したといえる。国の大きな政策転換は地域から起こりうるのである。

 このことは現代おいても通じる。環境先進国といわれるドイツにおいても、先進的な取り組みは地域からもたらされることが多い。そして地域からそのようなことが起こるような法的、社会的な仕組みを変えていき、EUとともに地域の取り組みサポートしようとしているのがドイツ連邦政府である。

 現代日本でもこれはあまり変わらない。日本政府の取り組みには様々な大きな問題があるが、それでも新しい政策事例のモデルを創るのは地域であるとして、先進モデルを築くための政策を、モデルになる自治体を募集して実施する方法が多くとられている。また実態からしても、各地の自治体で行われている施策や市民も参加した事業には、持続可能な社会築く上で、先進的な事例が多く存在している。地域こそ、私たちが持続可能な社会を築く基盤なのである。

3 ライフスタイルと経済の基盤も地域

 持続可能な社会を築く基盤が地域であることの二つ目の論拠として、次のことがあげられる。持続可能な社会にするためには大量消費・廃棄を前提とした「ライフスタイル」とそれを可能としている「社会経済システム」を変える必要がある、とされている。

 ではライフスタイルを変えるには、個人や家庭の努力でなしえるのだろうか。その人ができることは、住む地域によって大きく異なる。例えばレジ袋を地域的に有料化しているところでは、多くの人が買い物袋をもつことが当たり前になる。そうでない地域では買い物袋を持つ人の方がずうっと少ない。自転車道や駐輪施設が整備された地域では、自転車に乗る人が増えるが、そのような施策をとらない地域では、自転車に乗ろうとしても交通事故や盗難などいろいろ心配になって利用は限定的になる。公共交通を利用しようといわれても、郊外の大型ショッピングセンターが発展し、街中の商店街が衰退した地域では、自動車なしでは生活できない。

 私たちの生活の様式ライフスタイルを規定している大きな要素は、その地域社会の状況なのである。もちろん、個々人の意識は大切ではあるが、生活の実態は意識だけでは変えられない。その人が住む地域社会が大きな枠組みを決めているのだ。ライフスタイルを変えるには、地域社会が大きな要素なのである。

 経済社会システムを変えることと地域の関係についても見ておく必要がある。グローバル化している経済に地域が登場する余地はあるのか、という疑問も湧いてこよう。しかしグローバル化で希薄になったのはローカルではなくナショナル・国という枠である。かつては国家経済とよく言われていたが、現在では世界経済がお互いに大きな影響を与えあっている。独立した国家経済など、ほとんどなくなっているのである。また経済活動の主たる担い手である企業の活動は、まさに国境などは存在しない状況になっている。ローカルがグローバルと直に結びつく、これがグローバル化といわれているものである。

 経済の担い手である企業の多くは中小零細規模であり、その活動はローカルをベースとしている。また大企業といえども、その活動根拠は世界各地の地域にある工場であり、店舗であり、事業所なのである。その働き手は地域社会に居住し生活している。また消費者も世界各地の地域に住んでいる。地域社会に無関心な企業は社会的に淘汰されるであろう。今後CSR(企業の社会的責任)がより強く問われる中、企業の地域への貢献、地域との共存はさらに重要性を増すであろう。このように考えていくと、経済社会システムを変える一つの重要な基盤が地域であることは間違いないと思われる。

 中でも地方行政機関の役割には大きなものがある。なぜなら、地方公共団体は行政及び地域住民からなるが、行政はその地域において「経済的、社会的、環境保全的な基盤を建設し、運営し、維持管理するとともに」、様々な計画、施策を「企画立案過程をコントロールし、地域の環境政策を制定し、国及び国に準ずるものの環境政策の実施を支援する」存在である。さらに「行政レベルが市民に最も直結したものであるため、持続可能な開発を推進するよう市民を啓発し、行動を促し、また市民の期待や要求に応えていくうえで重要な役割を果たしている」(「」内は前述アジェンダ21第28章からの引用)からである。

4 持続可能な開発、社会とは

 それでは持続可能な開発(発展)とはどのようなものであろうか。この説明には次の二つがよく用いられている。ひとつは「将来世代のニーズを損なわないようにして、現代世代のニーズを満たす」ことである。私たちの現代社会はまさに将来世代が必要とする資源を大量消費し、さらに将来世代に負の遺産として破壊された環境を押しつけようとしている。またそのような資源の浪費と環境の破壊をしながら、全人類のうち物質的な豊かさを享受できたのは2割程度あり、反対に1割をはるかに超える人は慢性的な栄養不足。飢餓にさらされている。つまり現代世代のニーズも満たすことはできていない。持続可能な開発(発展)とそれを基盤とする持続可能な社会はその対極にあるものである。

 もうひとつの持続可能な開発(発展)の説明が「環境」「経済」「社会」の3要素をともに満たすことだとされている。この中で社会という概念は、少し日本語ではわかりにくい。具体的に言うと、社会保障、人権保護、福祉医療制度などと地域の文化・歴史・アイデンティティといった資源を合わせた概念と考えられる。

 さて、この三要素はどれ一つとして欠ける(悪い状態になる)と私たちの生活は大きく脅かされる。どれもが大切である。しかし日本の現状はと言えば、この三つの要素とも「うまくいっていない」という評価を下さずにはいられないであろう。それゆえ、私たちの社会は閉塞感が漂い、先が見えないのである。

 日本社会全体から考えるとひとつでも良くしようとするのも大変なのに、三つもできるのか。という疑問がわく。しかし、三つとも良くしていかないと社会はますます大変なことになってしまう。

5 持続可能で豊かな社会をつくる7つの提案

 持続可能で豊かな社会を、地域から実現するためには何が必要であろうか。環境首都コンテスト全国ネットワークでは、持続可能な地域社会づくり、モデル自治体共同調査研究プロジェクト、環境首都コンテストをはじめとする様々な活動、国内外の自治体との交流等を発展拡大させ、このことを考察してきた。そして次に提案する7つのポイント*があると考察した。

*実際に日本の自治体において実施されている先進事例を、この7つの提案に基づいて整理しわかりやくしたものが「環境首都コンテスト 地域から日本を変える7つの提案」(編著:環境首都コンテスト全国ネットワーク、ハイライフ研究所 出版:学芸出版社)である。

提案1 人を生かす、創る 〜地域公共人材、意識を変え、まちを育む〜 

 持続可能な地域社会を築いていくためには、地域の明確なビジョンと実現するための政策と戦略がきちんとたてられていることが必須だ。しっかりしたビジョンと政策とがあれば、それに基づき、戦略的に施策を実行して行く道筋がたてやすくなる。ただ明確なビジョンと戦略を立てるのは当然、人である。また、施策を内容の濃いものとして実施し効果の大きいものにするのも人である。どんなに優れた制度や仕組みがあっても、それを動かし、活用できる「ひと(人材)」がいなければ、制度や仕組みは無用の長物となってしまう。つまり、公共的な価値の重要性を理解し、社会に対して主体的にコミットできる「地域公共人材」**をいかにして増やしていけるかということも重要となる。この人材こそが地域にとっての本当の資源であり、持続可能な地域社会、環境首都づくりの要でもある。しかし、このような人材は多くの場合、はじめから多く存在しているわけではない。このような人材が顕在化し、また育てる社会的な仕組みを行政内外に組み立てることが重要である。


**地域公共人材 地域社会の全てのセクターが公共的活動に関わり社会的役割を果たす協働型社会において、地域の公共的活動をセクターの壁を越えて担う人材を指す(龍谷大学教授 白石克孝氏)

提案2 地域の将来像を描く 〜持続可能で豊かな将来像を描く〜

 自然環境を、その修復能力を超えて破壊収奪し、便利な生活を成り立たせている現在の社会経済システムの延長線上に、持続可能な社会を描くことができないことは、もはや明らかである。持続可能な社会を描くためには、社会経済システムのあり方から根本的に見直さなければならない状況に、私たちはいる。この状況に対し、私たちはどのようにしていけばよいのだろうか。持続可能な社会を描くにあたり、重要な考え方がある。それは「バックキャスティング」という考え方だ。

 「バックキャスティング」とは、現在の社会経済システムを前提とせず、まず、「将来のあるべき社会の姿(ビジョン)」を、そのあるべき社会における社会経済システムとともに描くことから始まる。そのうえで、そこから現在に遡って、そのあるべき社会を現実のものとするために、今及びこれから行うべきことを判断し、実行に移していく。そういった考え方だ。これに対し、今日の日本では、現在の社会経済システムを前提として、その延長線上に取り組みを考え、実行していくことが多い。これを「フォアキャスティング」という。フォアキャスティングでは、対症療法的な政策展開になりやすく安定した社会ならまだしも、現在のように大きく社会を変えていかなければならない時代には向いていない。

 つまり、持続可能な社会づくりを進めていくためには、まずは、その持続可能な社会を可能とする「将来のあるべき社会の姿(ビジョン)」を描くことが不可欠である。

 なお、持続可能性を追求したものではないが、まず、「将来のあるべき社会の姿」を描くことが有効であることは、戦後日本において、アメリカに追いつこうと、物質的に豊かなアメリカの生活、社会を、目指すべき姿として掲げることにより、復興とそれに続く高度経済成長を導く大きな推進力となったことからも見てとれるであろう。

提案3 戦略的に事業を組立てる 〜将来像実現の道筋を明らかにし実行する〜

 持続可能な地域社会の実現には、子ども、高齢者、勤労者、消費者、事業者、行政職員など多様な視点から地域が抱える課題を明らかにしつつ、地域の「ビジョン(あるべき姿/将来像)」を生活者の目線で描き出す作業がまず必要である(詳細は、第2節 わかりやすいビジョン)。

 地域の様々な構成員(アクター、セクター)で、「ビジョン」と現実とのギャップを共有し、このギャップを埋めるための道筋・プロセス、政策・施策・事業について、長期的な視点、総合的な視点からアイデアを出し合い、議論し、合意形成を図ることによって浮かび上がってくるものが、持続可能な地域社会をつくるための「戦略」である。

 この「戦略」が、「絵に描いたもち」ではなく「生きた戦略」となるためには、

  1. 様々な政策・施策・事業を横につなぐための行政内部の各部局、或いは、部局間の連携と、地域で活動する個人、市民グループ/NPO、民間事業者など、多様なアクター、セクターとの協働
  2.  個々の施策や事業の重要性と実現可能性を考慮した優先順位の決定や、リーディングプロジェクトの明確化、既存事業の成果と課題の分析に基づく施策の見直し、深化、拡大
  3. 地域の固有の歴史や風土、文化に根ざしつつ、広域連携の視点、長期的な視点もった計画や施策の策定と実践
  4. 多様な政策手法(規制的・経済的・社会的)の組み合わせによる多面的な施策・事業の立案と展開
  5. 一人ひとりのライフスタイルの転換につながる支援的な環境づくり/仕組みづくり
  6. 施策や事業の進行管理、評価への市民の参画を可能とするための仕組みや、市民の参画や各セクター間における協働のプロセスを評価するための「ものさし」などが必要となる。
提案4 環境、経済、社会を合わせる 〜相乗的な効果がある施策を実施する

 「持続可能な社会」の具体例として「循環型社会」「低炭素社会」をあげる論調があるが、「循環型社会」「低炭素社会」とは、実際にどのような社会だろうか。リサイクルに多大なエネルギーと財源を投入する社会、原発をフル稼働して二酸化炭素のかわりに核廃棄物を大量排出する社会。そのような社会が持続可能だろうか。そこで、人々はどのように働き、日々の生きがいを感じているのだろうか。

 環境、経済、社会の三点は「持続可能な地域社会のトリプルボトムライン」と呼ばれている。かつての公害問題は、環境と経済のアンバランスによって公害病を引き起こし、患者に肉体的な苦痛を追わせたばかりか、社会的差別によって精神的苦痛まで負わせてきた。現代の使い捨て社会は、大量のごみや二酸化炭素を発生させたばかりでなく、人材さえも使い捨てにして、多くのホームレスを生み、年間3万人もの人たちを自殺に追いやる要因にもなっている。

 こうしたことを考えるならば、環境、経済、社会の「トリプルボトムライン」がいかに重要かわかるだろう。ドイツのエッカーンフェルデ市の「住むに値するまち」づくりは、まさにこの環境、経済、社会を合わせた政策であった。そのまちづくりをすすめたことが1994年のドイツ連邦の環境首都につながった。

 この「社会」について、ドイツでは、人権、社会保障・社会的公正とともに「地域のアイデンティティ・地域らしさ」があわせ考えられている。これまで日本の多くのまちでこれまで行われてきたこと、風土に合わせて発展してきたまちなみをどこにでもあるビル群に替え、マスコミの流す情報が地域固有の文化を塗りつぶすこと。それが地方で暮らす人たちの尊厳を奪い、地方経済を疲弊させてきた。そして画一化と国の助成金に依存する体質をつくってしまった。水俣市の環境のまちづくりのキーワードになっている「ないものねだりより、あるものさがし」は、この地域のアイデンティティの重要性を表している。

提案5 パートナーシップを深める 〜参画と対話を自治体運営の基礎にすえる

 地域社会は、グローバル化した経済、温暖化防止や自然保護などの地球規模での環境問題、人権や平和問題など、世界との関わりが直接ないようなにみえてもその影響が如実に現れるという状況の中にある。しかし多様化した社会問題、硬直化した行政組織と議会、地域経済の疲弊など、地域社会をとりまく状況は大変厳しく、もはや地域社会の運営は自治体が担うというこれまでの社会の仕組みでは成り立たなくなっていることが明らかになってきた。

 すなわち、優れた為政者がすばらしいビジョンを描いても、社会を構成する様々な人や組織が地域に関心を持たず、それぞれの特性や違いを活かした参加と協働がなければ、持続可能な地域社会はおろか、地域社会を維持することさえ難しくなっているのだ。したがって、これからの時代は行政、事業者、住民(市民組織)があらゆるレベルで連携・協働し、複合的・重層的な相互の協力体制の基に支えあうマルチパートナーシップが求められるようになった。

 このような関係性を構築していくためには、これまでの一方的な「ご理解とご協力」の参加のあり方ではなく、参加者自らがその成果を味わい、力をつけ、それが次の行動に結びつくという効果が期待できる参加であることが望ましい。そのためには参加のプロセスを重視することは必須であり、違いを活かしあい対等な関係で連携・協働の本質をつかんだ方法を選択するとともに、それを担う人の役割が重要となっている。

提案6 行政を総合化する 〜縦割り弊害を除去し、施策の総合化を図る

 これまで第2節で自治体としての将来像・ビジョンを描くこと、第3節で政策を戦略的に構築しすすめること、第4節で環境、経済、社会という持続可能な社会を築くための3要素を合わせた政策、事業が必要であることを述べてきた。これらのことを実現しようとするとき、従来の縦割り行政は大きな障害となる。仕事がその部署の範囲内で収まっている場合は、縦割りで行う方が効率のいい場合も確かにあるが、部署の範疇を超えたとき、あるいは横断的な取り組みが必要な課題に関しては、機能不全に陥り、非効率でかつ効果が得られなくなる。このような縦割り行政の弊害は、日本政府が現在の社会が直面している多くの課題に対応しきれていないことをみれば容易に理解できよう。そしてこの縦割りの弊害は、地方自治体にも多く存在し、社会課題の解決の妨げになっている。

 今、自治体に求められている持続可能な地域社会づくりには、行政組織と行政運営のあり方の根本的な改革が必要である。行政内部の障壁を取り払い、庁内の横断的な協力体制と、地域住民との協働体制を創りあげ、総合的な視野で取り組んでいくことが求められている。それは、2007年の環境首都コンテストにおいて、すでにこのような仕組みの導入を行っていると回答した自治体の半数が上位6位までの入賞を果たしていることから、その有効性は明らかだと考えられる。

提案7 成功事例をしめす〜成果が人々に希望と行動する勇気を与える

 ビジョンの実現や、環境問題解決のためには長い年月がかかることが多く、その成果を分かりやすく実感できないものも多い。

 社会を変えていくためには、だれの目にも見えやすく、わかりやすく、取り組みやすい事業を行うことが効果的である。もちろん、その事業はビジョンや戦略にもとづいた事業である必要はある。

 事業を実施していくプロセスは関わっている人々自身のエンパワーメントとなる。また、パートナーシップで行われた場合は信頼関係の構築にもつながっていく。成功が見えやすければ励みになり、さらにメディアとの連携によりアピールもうまくできれば他の市民にとっても刺激になる。 

 ドイツで1998/99年の環境首都となったハム市ではわかりやすい事業が数多くなされている。1992年に州の「未来のエコロジー都市」モデルプロジェクトに選出されてから、建築物のエコロジー化や、学校の校庭などの環境づくり、公園・遊び場作りなどのほかに、3人以上集まれば公共的空間における自然と環境に関する活動に助成金が受けられるという自由度・自発性の高い「市民共同イニシアティブ・プログラム」を実践、約150のプロジェクトが実施された。「小さくても具体的なプロジェクトへの多様な参加機会をつくり、実践をとおして学びあうこと、そして小さなプロジェクトを積み重ねていくことによって、新たなパートナーシップや協働が生み出されていく」としてこうした実践を積み重ねているという。ハム市の担当者であるトーマスデルト氏は「目に見える成果が人々に行動する勇気を与えた」と述べている。

6 多治見市へ具体的提案

 「持続可能な地域社会づくり、モデル自治体共同調査研究プロジェクト」で共同調査研究を行なった多治見とは、この7つの提案を基本的な考え方として、具体的なプロジェクト提案を作成した。

 まず、多治見市の10年後の将来像として環境首都「たじみ」の姿を描いた。そしてこの将来像を実現するための12の先導的プロジェクトを戦略的に構成した。そのプロジェクトは全てパートナーシップで実施することを前提とし、相乗効果をもたらすものとした。

 また、このプロジェクト提案を作成した委員会は、多治見市の関係課長及び多治見のNGO及び市民団体、そして環境首都コンテスト全国ネットワークのメンバーで構成したパートナーシップ組織であり、かつ行政横断型である。さらにこの提案書に対して、多治見市長は現在策定中の総合計画できっちりと取り組むことを明言された。

 12のプロジェクトには人づくりにかかわるものが3つあり、また自然エネルギー及び農業の分野で産業と環境を合わせた内容となっている。そして12のプロジェクト一つひとつが成功事例を示すものになるように考えたものである。


提言書 環境首都「たじみ」をめざす12の先導的プロジェクト(PDF、1.8MB)
プリンタ用画面
 
カテゴリートップ
持続可能な地域社会づくり モデル自治体共同調査研究プロジェクト
次
プロジェクトの概要
わがまち自慢

第35回 気仙沼市


気仙沼市は,宮城県の北東端に位置しています。太平洋に面した沿岸域は変化に富んだリアス式海岸を形成しており,気仙沼湾は四季静穏な天然の良港として,陸中海岸国立公園及び海中公園並びに南……続きはこちら

バックナンバーを見る

オススメEco土産・特産品

掛川茶(掛川市)

掛川は、古くからお茶の産地として太陽の恩恵を受けてきました。

日照時間が長いためカテキンを豊富に含んだ渋みの茶葉ができます。さらに、穏やかな……続きはこちら

バックナンバーを見る

環境首都創造NGO全国ネットワーク Copyright(C)2008-2011 The National Eco-City Contest Network All Rights Reserved
Powered by XOOPS Cube 2.0 (C) 2005-2011 The XOOPS Project